終末期医療

患者様とご家族が、ご自宅で少しでも心穏やかに生活していただけるよう、そのようなサポートができるかを検討して参ります。
経過中、様々なことを考え、悩むことが多くなりますが、その1つ1つのご不安や疑問に対して一緒に考えていければと思います。可能な限り痛みや苦痛を緩和し、周囲の人とのたわいもない世間話を楽しみながら自然と笑顔になれる、そんな居心地の良い、温かい空間を作っていきたいと考えます。
そのために必要な医療・介護サポートをチーム一丸となって実践してまいります。そして温かな雰囲気の中でのお看取りも24時間365日対応させていただきます。

がん緩和ケア

「これ以上積極的な治療ができないから緩和ケアを受けるように勧められました」というお話を患者様から聞くことがありますが、本来緩和ケアとは化学療法などの治療を受けている際にも、積極的に関わることでより良い効果を発揮することが分かっています。
つまり、あらゆる段階の方が緩和ケアを受けることで、少しでも苦痛などを軽減したり、心の健康を維持したりすることができるのです。
痛みの管理もその1つです。麻薬を使うことは必ずしも終末期に限ったことではありません。我々は、痛みの管理、呼吸苦の管理、緩和ケアのためのメンタルヘルスケアなどに力を入れております。そのため、モルヒネの皮下注射、在宅での輸血、腹水穿刺、ステロイドの管理等々積極的な緩和ケア治療を実施し、少しでも快適にご自宅での時間を過ごせるようサポートいたします。

在宅輸血

適応

在宅診療を受ける方に対してご自宅で輸血を実施いたします。輸血・細胞治療学会が掲げる小規模施設(在宅を含む)での輸血ガイドに準拠する形で安全面に十分配慮しておりますが、病院と異なり人手の少ないご自宅での輸血にはリスクを伴います。細かい適応基準がありますので、申込書をFAXしていただいた上でご相談させていただきます。「在宅輸血とは」もご覧ください。

褥瘡ケア

褥瘡で最も重要なことは予防です。そのために日々の診療で褥瘡に関するリスク評価をしておくことはとても重要なことです。我々のクリニックでは、初診時にその評価を行います。ご自分で体位変換できるか、病的骨突出はないか、浮腫や拘縮はないか、常時湿潤・汚染されている箇所はないか、などを評価し、褥瘡ができやすい部位については接触圧測定を行います。それらの結果に基づいて、リスクに応じた適切なマットレスの提案をさせていただくなど、看護師やヘルパーと共にポジショニングについての話し合いを行います。これらが予防の第一歩です。

それでも褥瘡ができてしまった場合は、超音波を用いての深部組織損傷(Deep tissue injury(DTI))の早期発見に努め、治療のプランニング(どのような外用剤を用いるか、処置の仕方等)を看護師と頻繁に話し合います。壊死の除去、ポケットに対する外科的治療、さらには陰圧閉鎖療法等も検討してまいります。

心不全

在宅診療において、慢性心不全の方はとても多いです。我々のクリニックでは日常生活における患者様の摂生(我慢)は最小限に、おいしいものを食べて楽しく過ごしていただけるようにしています。その代りに日々の病状の変化に対し、ご家族やヘルパー、訪問看護師には「注意深い観察」にご協力いただいております。患者さんの呼吸の様子、体重の変化、尿量のざっくりとした評価はとても重要です。さらに看護師はバイタルサイン、呼吸数、静脈圧の変化等を観察し、チームメンバー全員で情報共有をします。

急性増悪を繰り返す慢性心不全の在宅診療は、実は末期がんの方のサポートよりも難しいといわれています。比較的経過も長いため、ご本人様のケアだけでなくそれを支えるご家族の負担についてもケアもしっかりとしていきます。

肺炎

在宅診療で誤嚥性肺炎は、我々が最もよく診る肺炎です。咀嚼・嚥下能の低下や、口腔ケアが行き届かなくなると、どうしても肺炎のリスクが増してきます。
当クリニックではご本人様やご家族の強い希望がなければ救急搬送せずご自宅で治療にあたります。抗生物質の点滴加療が基本となりますが、在宅酸素・喀痰吸引療法が必要になることもあります。医療保険か介護保険かにより、看護師の介入が制限される可能性もあり、時として家族の方にもご協力いただく必要がございます。
加療中は経口摂取が難しくなるため、極力早期に改善を図り嚥下リハを進めていきます。一見難しいように思われるかもしれませんが、患者様を取り巻くチームスタッフ一丸となって治療に当たらせていただきます。

認知症

認知症と一言で言っても様々なタイプがあり、その症状もそれぞれ異なります。認知症サポート医として、認知症の方への理解や接し方を多くの方に知っていただけるように努めてまいります。また、日々の診療においては、ご本人様の様子を伺いながらゆっくりと診察し、その時々で異なる問題点についての解決策のご提案を致します。さらにはご家族の日々の御苦労についてもじっくりとお話を聞きながら少しでも介護する方の気持ちに寄り添うことができればと思います。

血管障害

在宅診療を受けている方は、実は足が冷たかったり、むくんでいらっしゃることが珍しくありません。脳梗塞や心筋梗塞等の既往をお持ちの方が多く、そうした方々は生活習慣病の既往を有し、動脈硬化が進行している可能性があります。我々は、脈波伝播速度・足関節上腕血圧比(PWV/ABI)を測定することで、閉塞性動脈硬化症(ASO)のリスク評価や、血管エコーを用いて下肢動・静脈の評価を行うこともあります。ASOが認められれば、有症状の場合は希望に応じて血行再建目的で近隣病院の循環器内科への紹介も可能です。糖尿病の方は特に動脈硬化の評価が重要になります。

生活習慣病

ここでは主に高血圧、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症等に関する話題になります。在宅診療を受けている方の中には、これらの疾患に対する薬を1種類以上内服されている方が多いです。在宅診療では、一般的な外来診療よりその方の生活全般を観察することができるため、より深く、きめ細かい相談をしながら生活習慣病との向き合い方を話し合います。(診察中の何気ない世間話の中に重要な要素があったりします。)また、ポリファーマシーといってしばしば内服薬が多すぎることが問題になっています。一緒に相談しながら必要な内服薬について考え服薬管理の簡素化を図ります。適宜採血、下肢血管障害や脳梗塞のリスク評価などを行うことがあります。

ICHI clinic
tel.03-6657-2820
〒132-0035 東京都江戸川区平井5-21-3
ガーデン欣志ビル3F 303, 307
院長
市川 訓基
診療科目
在宅診療、訪問診療
最寄駅
総武線 平井駅